記憶が曖昧になってきていますが、バンド活動以外、最低な青春時代を送っていた私の高校3年の初夏頃だったと思うのですが、休みの日に自分の部屋で過ごしていると、部屋のインターフォンがなりました(私の実家は民宿を営んでいたため、各部屋にインターフォンを設置していました。1階のリビングから3階の私の部屋への連絡は専らそれでした)
私「何?」
母「何か、家庭教師の案内みたいな人から秀司宛に電話がはいってるけど」
「なんやそれ?」
この頃の時代は訪問販売、セールス電話の大全盛期のため、よく解らない営業がしょっちゅうアプローチしてきました。
その電話に私は「大学には進学せずに、やりたいことがあるので」と秒殺で会話を終わらせようと、渋々、子機に出ました。
私「はい、もしもし」
営業マン「もしもし。秀司君ですか?私は〇〇の〇〇と申しまして、今、高校3年生の学生に進学のための色々なサービスの案内をしています。秀司君は高校卒業後はどうされるのかな?」
初めての電話なのに、非常に距離感の近い、そして熱心な雰囲気の口調に戸惑いながら私はこう答えました。
私「ボクは高卒でフリーターになって、渋谷でストリートミュージシャンになろうかと思っています」
このダメダメな返答で、この営業マンも「ああ、そうですか。解りました」と即答の上、この電話は終了すると思いきや…!
営業マン「うわ!凄いな!ええやん!夢があって羨ましいわ」
私「そうですか…」
営業マン「それなら一層、大学へ行った方がええで!」
私「?」
営業マン「今のミュージシャンって、大概、大卒やで!サザンの桑田さんは中退やけど。秀司君の好きなミュージシャンは誰?」
私「そうですね、長渕剛が好きですね」
営業マン「長渕さんか!九州産業大学中退やね。」
私「…?」
営業マン「フリーターで、東京に出てミュージシャンになるのもいいけど、大学に進学して音楽サークルに入ってもミュージシャン目指せるし、その方がお得やで!」
私「…(何だ、この新しい発想は!?)」
営業マン「だから、一回、進学を考えて、その上で将来のことを改めて考える方が色々良いことあると思うけどね」
その後、なんやらかんやら四方山話をして電話を終了したのですが、私の人生に強烈な影響を与えてくれたのはこの名前も覚えていない、顔も見たことのない、学習系企業の営業マンでした。
この素晴らしいアイデアを基に、私は高校3年の夏ころから遅すぎる受験勉強に進むのでした。
しかし、更に事件は続きます。
全てはネガティブシンキングの結果だと、随分、大人になってから気づくのですが…。
絵本屋.comとは
2015年11月からサービスを開始した、大人向け電子書籍絵本レーベル。
大人が笑える、泣ける、癒されるといったピュアな感情を得られる絵本を所属の絵本作家陣と共に創作し、各種電子書籍絵本ポータルサイトで販売している。代表作のサトウヒロシ作「明日死ぬかもしれないか今お伝えします」はアマゾンキンドルストア総合ランキング第2位を獲得する大ヒット作(2018年12月にMBS「ちちんぷいぷい」に今井とサトウヒロシが生出演で作品が放送されている)絵本屋.comの一部の作品は海外でも人気を博し、中国、台湾、韓国、アメリカで紙書籍、電子書籍で流通している。