私が絵本屋.com、大人向けの電子書籍絵本レーベルを立ち上げた理由は、10話までの内容から、私自身が元々絵描きになりたかったこと、エンターテインメントの道に進みたかったことが大きな理由なのですが、ベンチャーで過労死しそうなくらいハードワークをしていた際に、心の癒しこそが現代人に最も必要なものだと確信したためでもありました。
社会人は、平日は労働に身を捧げ、週末に自分を取り戻すような1週間を延々送っているように思います。
経済社会の仕組みがそうであるから仕方ないのですが、そのような暮らしにはリフレッシュがとても必要であり、そのためにエンターテインメントが存在しているのだと思います。
特に芸術や音楽、空間などは瞬時に大人の心を日常に誘ってくれる素晴らしいエンターティンメントです。
それをもっと身近に、簡単に、スマホ1台で味わえないかと思い、考えたのが大人が楽しめる電子書籍絵本でした。
ワンピクチャー、ワンテキストのシンプルな構成で展開される絵本には、絵画と物語の両方を楽しめる要素があり、マンガのような騒々しさもなく、ゆっくりと自分のペースでじわじわと物語を堪能できると考えたためでもありました。
このような企画を佐藤さん(サトウヒロシ)と話し、賛同してくれた際には最高に嬉しかったことを今もしっかりと記憶しています。
それからは10話で述べた通り、絵本作りのトライアンドエラーの連続でした。
また、作家集団として成立させるために、リクルート活動も相当行いました。
京都の芸大数校へ出向き、在学生やOBOGへのアプローチ。
ウェブサイトやSNSでのPR。
2011年当時のことですから、大人向けの電子書籍絵本はかなりインパクトがあったようで、メディアからも注目を得ましたが、絵本作家志望者からの注目が相当多かったです。
そのため、かなりの応募者を獲得することができました。
しかし、電子書籍化の技術克服とビジネスモデルの構築に頭を悩ましていため、まずはサービスを知ってもらうために、その当時はGMOグループが運営していたパブーという電子書籍ポータルサイトで短編絵本(当時はショートショート絵本と呼称していましたが)を無料でドンドン世に出していこうというプロジェクトを作家陣と組み、活動していました。
今では出版社経由での販売やKDP経由(アマゾンの自主出版システム)の販売もコントロールできるようになりましたが、当時のKDPは著者登録も複雑で、データ作成も何だかよく解らないのと、販売後のアフターフォローもどうすれば良いか検討もつかなかっため、今では反省していますが、電子書籍最大の市場であるアマゾンでの販売までに相当な年数が経過してしまいました。
その混迷の黎明期に、私はビジネスモデル構築のために大きな決断を行いました。
それがビジネススクールに通うことでした。
時は2013年の秋ごろのことです。
絵本屋.comとは
2015年11月からサービスを開始した、大人向け電子書籍絵本レーベル。
大人が笑える、泣ける、癒されるといったピュアな感情を得られる絵本を所属の絵本作家陣と共に創作し、各種電子書籍絵本ポータルサイトで販売している。代表作のサトウヒロシ作「明日死ぬかもしれないか今お伝えします」はアマゾンキンドルストア総合ランキング第2位を獲得する大ヒット作(2018年12月にMBS「ちちんぷいぷい」に今井とサトウヒロシが生出演で作品が放送されている)絵本屋.comの一部の作品は海外でも人気を博し、中国、台湾、韓国、アメリカで紙書籍、電子書籍で流通している。